消防機関へ通報する火災報知設備とは

解説

この設備は一般的にはあまり使われていませんね。しかし設置されている建物で働いている方は見覚えがあるのではないでしょうか。赤い受話器がついたいわゆる火災通報装置というやつです。

この設備が設置されている現場では、火災報知機の誤作動でも消防署に通報がいってしまう為注意が必要です。

感知器の誤作動については下記にリンクを貼っておきますのでそちらをご覧ください↓

熱感知器の種類(差動、定温)と仕組みと誤作動

煙感知器の種類と仕組み(誤作動の原因と対処法)

炎感知器の種類と仕組み(誤作動の原因も)

この設備が設置されている現場では感知器の誤作動にも注意が必要ですね。

今回は消防機関へ通報する火災報知設備について解説します。

この記事を読むことで

➡消防機関へ通報する火災報知設備とは

➡消防機関へ通報する火災報知設備の設置基準

➡後から設置しなければならなくなる事例

について学ぶ事が出来ます。

消防機関へ通報する火災報知設備とは

要約すると速やかに消防署へ通報する装置の事です。最近では消防法施行規則の改正で6項ロ(養護老人ホームや乳児院)では自動火災報知設備が連動しています。いわゆる火災報知器が作動すると自動で通報が行きます。

火災感知器が火災を感知し、その信号が火災受信機へ。そしてその火災信号がこの消防機関へ通報する火災報知設備へ。そこから119番通報が自動でされるという具合です。

もちろん赤い受話器の所にあるボタンや本体のボタンを押しても通報がいきます。


感知器(ボタンを押す)

受信機

消防機関へ通報する火災報知設備

消防署


こんな感じです。

え!?もしかしてうちの建物にも設置されているかな?と心配になりますね。

上のイラストのような赤い電話装置が設置されていなければ大丈夫ですが、次章でこの設備の設置基準について解説します。

消防機関へ通報する火災報知設備の設置基準

この設備は全ての現場に設置されているわけではありません。火災が発生した時にすぐに119番通報がされた方が良いに越したことはないですが、自動火災報知設備は誤作動も発生します。あっちでもこっちでもこの設備が設置されていると通報ばかりになって大変ですね。

また、建物の用途変更で設置しなければならなくなった!なんて事もあるのでこの点はしっかりと押さえておきたいですね。

そこで設置基準を平米数ごとに分けて分かりやすく記載します。


平米数に関係なく設置しなければならない建物

〇消防法上で6項イ(1~3)に該当する建物

まずはじめに6項イとは、病院、診療所、助産所となっています。その中でも1~3までありますので別々に解説します。

・6項イ(1)とは特定診療科目を有する+一般病床または療養病床を有する病院です。

・6項イ(2)とは特定診療科目を有する+4人以上を入院させることができる病院です。

・6項イ(3)とは上記以外の病院、有床診療所、入所施設を有する助産所となっています。

〇消防法上で6項ロに該当する建物

・まずはじめに6項ロとは、自力で避難が困難な者が入所する福祉施設です。老人短期入所施設や特別養護老人ホーム、救護施設や乳児園、避難が困難な障がい者支援施設もこれに該当します。

※これ以外の福祉施設は6項ハに該当(500㎡以上で設置)

〇消防法上で16項2、16項3に該当するもの

・まずはじめに16項2は地下街、16項3は準地下街となっています。

地下街とは、公共の場の地下にある店舗街や通路の事で、準地下街とは通路は公共用地、店舗は民有地の事を指します。

時々半地下(はんちか)なんて言われることがありますが、半地下に店舗通路があるから準地下街という意味ではありませんので注意!


 

500㎡以上で設置しなければならない建物

〇消防法上で1項、2項、4項、5項イ、6項イ4、6項ハ、6項ニ、12項、17項に該当する建物

項のイやらハやら4やら…分かりにくいですが個別に記載しますのでついてきてくださいね。

1項

2項

4項

5項イ

6項イ4

6項ハ

6項ニ

12項

17項

劇場、集会場

キャバレー、ナイトクラブ、遊技場、性風俗店、カラオケ店等

百貨店、マーケット、物品販売店や展示場

旅館、ホテル、宿泊所

無床診療所、無床助産所

その他の福祉施設※上記6項ロの説明参照

幼稚園、特別支援学校

工場、スタジオ

文化財

 

 
1000㎡以上で設置しなければならない建物

〇消防法上で3項、5項ロ、7項~11項、13項~15項に該当する建物

こちらも下記表にまとめます。

3項

5項ロ

7項

8項

9項

10項

11項

13項

14項

15項

料理店、飲食店

共同住宅

小、中、高等学校、大学、専門学校

図書館、博物館、美術館

サウナ、公衆浴場

車両停車場、船舶や航空機の発着場

神社、寺院、教会

自動車車庫、駐車場、飛行機の格納庫

倉庫

各項に該当しないもの(事務所など)

設置基準を学んでいただいた上で、うちの建物は大丈夫!と安心できない場合も。

後から建物の用途が変わって設置しなければならなくなったなんて事も。

次章で解説します。

 


 

後から設置しなければならなくなる事例

うちの建物は大丈夫!ではないんです!

後から設置しなければならなくなるパターンを解説します。

・意図せず用途が変わり設置しなければならなくなった

これはどういう事でしょうか。例えばある障がい者グループホームが6項のハに該当していたとします。そしてこの6項ハの建物が6項ロになってしまうケースが起こり得るのです。

6項ハの障がい者グループホームには障がい支援区分4以下の方が入所しています。

しかし、なんらかの理由でこの障がい支援区分が4以上に上がってしまい、その結果6項ハから6項ロの建物になった。といったケースが考えられます。

具体的には、障がい支援区分4以上の方が8割を超えると6項ロとなります。

するとスプリンクラーの設置も義務となり高額な工事となります。費用面や賃貸の建物だったとして、オーナーとの折り合いがつかなくもしこれを設置できなければ、入居者、従業者は路頭に迷う結果となりますので、福祉施設の開設には注意が必要です。

 

 

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